築地は東京中央卸売市場の入り口にかかるアーチ橋。小さい橋だが橋梁技術の観点から貴重な橋であるとの指摘がされている。土木学会が中央区に提出した、海幸橋の保全的存続に関する要請(1999年)にその概要が述べられている。そのポイントは以下のとおり。
- 国内初のランガー桁
- アーチ端部にヒンジがある(2橋しか存在しない)
- 一般に折れ線のランガー桁アーチ部分が曲線アーチとなっている
- 親柱がアムステルダム派のデザイン
こうした保存要請があるものの撤去されてしまうようで、中央区は平成13年度発注予定工事として「海幸橋落橋工事」を12月に入札で発注する公示を出している(発注予定工事一覧は中央区WEBサイトでみることができる。2001年12月17日時点で、入札終了となっていた)。川が埋め立てられてから久しく、橋としての必要性がないという判断だろうか。10月に訪れたときには、親柱はすでに無く、塗装などの痛みも激しい姿であった。
諸元 (1,2) |
橋長 |
26.21 m |
幅員 |
15.0 m |
竣工 |
1927(昭和2)年10月 |
施行 |
東京市 |
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◎追記(2004/09/19) 橋は撤去され、すっかり普通の道路となっていた(図-5)。代わりに親柱が修復され現地保存されている(図-6)。親柱はいったん撤去されたあと、どこかで保管されていたのだろうか。
参考文献 |
(1) 伊東孝、東京の橋
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(2) 土木学会、日本の近代土木遺産
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図-1:市場側から
図-2:側面
図-3:アーチのヒンジ部
図-4:親柱の跡
図-5:撤去後の様子
図-6:修復保存された親柱
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