目白通りが台地上をはしっている地形を利用し、明治通りを切通しにして交差させている。明治通りを鋼アーチ1スパンで乗り越す、東京都内で初めての幹線道路同士の立体交差橋である。アーチ部材やそこから床板を支える垂直材の構成が、大正後期〜昭和初期の上路式鋼アーチ橋によく見られる造りになっている(e.g. 蔵前橋、雉子橋)。
上下の道路を行き来するためのランプが1ヶ所、橋の北西側にある。明治通りと都電荒川線が平行しており、これを跨ぐ千登世小橋が千登世橋のすぐ傍へ続く(図-1)。
両橋の間には派出所と橋詰広場が向かい合って置かれている。橋詰広場にはコンクリート製のベンチと花壇があり、橋の来歴を説明する案内板が花壇内に設置されている。案内板には次のように記載されている。
千登世橋は、昭和7年に橋長28.0m、有効幅員18.2mの一径間鋼ヒンジアーチ橋で架設された。 この橋は、明治通りと目白通りとの立体交差橋で都内でも土木史的価値の高い橋として「東京の著名橋」に指定された。 著名橋整備事業として、千登世小橋と共に親柱、高欄、橋側灯及び橋詰空間など、歴史的原型の保全を行い、文化遺産継続の願いをこめて修景を施したものである。 施行年度 平成2年度 施行者 東京都第四建設事務所
「歴史的原型の保全」とあるように、高欄や橋灯にクラシカルなデザインが見てとれる(架設時の原型のままかどうかは未確認)。石張りの重厚な造りの階段が2ヶ所、橋詰にあり、こちらも風格を感じさせる。東京都市計画環状道路として改修された明治通りに架設された橋には特に美観に配慮したという(1)。
親柱も石造りの、直線を基調としたアールデコ調の立派なものが建てられている。上路式なので橋上は見晴らしが良く、橋上を通過する者の視点からも存在感ある目印となっている。
株式会社サクラダのWEBサイトで千登世橋の図面と古写真を見ることができる。図面を見ると斜橋であることがよく分かる。 http://www.sakurada.co.jp/produced/hashi/tokyo.html
参考文献 |
(1) |
伊東孝、東京再発見 |
(2) |
土木学会、日本の近代土木遺産 |
◎追記(2010/02/28) 住所を「新宿区」から「豊島区」に訂正。ご指摘くださったKさん、ありがとうございました。
◎追記(2003/08/24) 図-2の写真を差し替え
(2003/07/25) ページ公開
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